TPデータ・セミナー「高齢者住宅データ〔全国版〕」の開催にあたって~高齢者住宅最新動向「高齢者住宅・施設は足りていない」~

2022年4月現在の高齢者住宅・施設は58,201ホーム233万戸が供給されている。内訳は社福や医療法人の介護保険施設107万床、民間の高齢者住宅(有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅・認知症高齢者向けグループホーム・分譲型ケアマンション)は107万戸、自治体の軽費老人ホームなど19万戸となっている。

介護保険施設と民間高齢者住宅はほぼ同数となった。2021年介護保険施設は1.5万床が開設したが療養病床の廃止が1.3万床で実質増はほぼゼロであったのに対して、民間の高齢者住宅は3.6万戸と着実に新規開設戸数を増やしている。今後、民間の高齢者住宅が高齢者の受け皿となって行くことが明確になった。

介護保険施設や特定施設・グループホームは入所・入居した要介護者に対して、必要な介護保険サービスを必要なだけ行う義務を負っているため、要介護者にとっては安心な場所となっている。包括的な介護を行うこれらは、現在160万戸(床)が供給されている。

要介護度3以上になると、従来の自宅での生活継続は困難となる。要介護3以上の認定者数は現在237万人で、単純に差し引き77万人が入所・入居できていない。

特定施設でない住宅型有料老人ホーム30万戸、サービス付き高齢者向け住宅21万戸がこの穴埋め的役割を担っているが、それでも26万戸が不足している。

スウェーデンでは日本の包括的ケアに相当する「高齢者特別住居」は高齢者人口に対して6~8%、デンマークでは同様の「プライエボーリ」は6%が供給されているのに対して、日本は4.4%と北欧と比べ供給率は低い。

北欧水準に引き上げるためにも、民間の活力を生かした包括的な介護を行う高齢者住宅の供給を推進するとともに、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の特定施設への転換が求められている。

セミナー風景
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