- 2025/11/19
- ホスピスホームの実態!
- 田村明孝の辛口コラム
緩和ケアホームを運営する大手2社は、訪問看護診療報酬に不正請求があったとして相次いで調査報告書を発表した。
東京証券取引所プライム市場に上場する株式会社サンウェルズ(石川県)が、全国42施設のうち41施設で診療報酬の不正請求を行っていたことが、本年2月7日同社特別調査委員会の報告書でその総額は約28億4700万円にのぼると発表した。
同じく東証プライム市場に上場する株式会社アンビスホールディングス(東京都)は外部の弁護士らによる特別調査委員会を設置、本年8月8日に調査報告書を発表した。報告書は、訪問看護で実態が認められない報酬請求が約6300万円、訪問介護では約40万円あったとしている。これは委員会独自の判断基準による算定額で、本来の不正額はもっと高額になると思われる。
(上記事項に関しては、すでに本コラムで扱っているので詳細は掲載済みコラム参照)
これを受けて、厚生労働省や金融庁が調査を進めているとの報道もあるが、数カ月経過しているにも関わらず、厚生労働省からは一向にその結果が公表されていない。
地方厚生局では、本年10月20日付「指定訪問看護ステーションにおいて不正請求などが行われた場合の取り扱いについて」が発表された。その内容は「訪問看護療養費等に不正又は著しい不当があり健康保険法に違反した場合には、行政処分として指定訪問看護事業者の訪問看護ステーションの指定取り消しを行ったうえで指定訪問看護の提供を受けた利用者(被保険者)の皆様の権利を守ることを目的として、行政処分の内容を公表することとしています。今後とも、不正に療養費を請求する行為については、厳正に対処し、行政としての役割を積極的に推進してまいります。」と、この件を受けてかなり厳しい態度表明があった。
これについて、上記2事例の行政処分が、いまだ出ないのはなぜかを関東信越厚生局東京事務所に問い合わせたが、「調査をしているかどうかも含めて、一切教えられない」と頑なに回答を拒否。
厳しい態度表明をした「不正請求事項取り扱い」内容とは、大きくかけ離れた不可解な現実となっている。厚生局の人手不足以外に動けない何かがあったのではと邪推してしまう。
この件に関しては、本年6月立憲民主党酒井なつみ議員が衆議院厚生労働委員会で取り上げ、福岡厚労大臣から「一般論として、不正請求の疑いがある場合、地方厚生局において必要な指導監督を行い、不正請求が確認された場合には厳正に対処する」との答弁を得ている。
ほぼほぼ外堀が埋められた状態だが、地方厚生局が早急な行政処分を行わない結果、サンウェルズ・アンビスは増設を続け、他の事業者を含めた緩和ケアホームは増え続けている。
依然増え続ける緩和ケアホーム
2025年中(1月から10月)に新規開設した有料老人ホーム(介護付・住宅型)は、全国で介護付・住宅型合わせて524ヶ所/20,936戸であった。そのうち483ヶ所が住宅型であり、介護付は38ヶ所に留まる。
中でも緩和ケアホームは急増し、139ヶ所/6,393戸が2025年中に開設されている。(いずれも当社調べ)
2025年中に開設した有料老人ホームの事業主体別ランキングにおける上位は、㈱アンビスや㈱サンウェルズ、CLAN グループ(緩和ケアホーム・ブランド「アルク」)、シーユーシー グループ、㈱スタッフシュウエイ、㈱エクラシア、㈱リベルケアといった緩和ケアホームの運営事業者となっている。
ランキング1位の㈱アンビスは「医心館」ブランドのホームを21ヶ所/1,065戸開設し、2位の㈱サンウェルズも「PDハウス」ブランドを12ヶ所/704戸開設する等、速いペースで開設を進めている。両社は以前から、速いペースで開設を進めていたが、昨年から今年にかけ、一連の不正が報道されたにも関わらず、その開設ペースは依然として衰えず速いままである。

厚生労働省が不正請求を正さないままでいるとは思えないが、緩和ケアホームの急増が不正をさらに増加させることとならないよう、早急な行政処分が求められている。

1974年中銀マンシオンに入社、分譲型高齢者ケア付きマンション「ライフケア」を3か所800戸の開発担当を経て退社。
1987年「タムラ企画」(現タムラプランニング&オペレーティング)を設立し代表に就任。高齢者住宅開設コンサル500件以上。開設ホーム30棟超。高齢者住宅・介護保険居宅サービス・エリアデータをデータベース化し販売。「高齢者の豊かな生活空間開発に向けて」研究会主宰。アライアンス加盟企業と2030年の未来型高齢者住宅モデルプランを作成し発表。2021年には「自立支援委員会」発足。テレビ・ラジオ出演や書籍出版多数。
