- 2026/02/25
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- ホスピスホームの実態!
- 田村明孝の辛口コラム
不正訪問看護事業者を厚労省全国一斉調査
緩和ケア(ホスピス)ホームに訪問看護ステーションを併設し、不正・過剰に診療報酬を得ていた事業者に対して、本年1月より厚労省・都道府県・厚生局が全国調査を始めている。調査対象先や調査結果など詳細のほどはまだ明かされていない。
不正報道などから、以下の事業者は調査対象となると思われる。
調査委員会を立ち上げ自ら不正を公表した株式会社サンウェルズ(本社金沢市 東証プライム上場 代表取締役社長 苗代亮達)は28億円超の不正を認めている。報道以降の入居者募集が滞り今期20億円の赤字決算予想となっている。苗代氏が私財10億円をサンウェルズ社に寄付したとの報道があるが、不正に蓄財した金銭は自身の経営する会社ではなく、まずは不正に得た医療報酬の返還に充てるのが筋だ。
ホスピス最大手の株式会社アンビスホールディングス(本社東京 東証プライム 代表取締役CEO 柴原慶一)は、本来の不正請求の実調とはかけ離れた、調査委員会が勝手に決めた独自の推定による判断基準に基づいた身勝手な算定で6300万円余を不正と認めている。柴原氏も出身の名古屋大学に5億円を寄付するなど、アメリカ経済誌フォーブスによると2022年保有資産額は16億米ドルと不正蓄財は想像を絶する高額だ。130か所を超えるホームを全国展開していることから、厚労省・都道府県・厚生局が一体となった調査が行われている。
訪問看護ステーション「あやめ」を運営する株式会社ファーストナースと、サ付きの供給ランキング全国4位の株式会社ヴァティー「ふるさとホーム」「あんしんホーム」の実質的社長は松本智氏で、サ付きを舞台に、精神疾患患者などを入居させ、訪問看護で不正な診療報酬を得ている。月額訪問看護売り上げ90万円を目標に掲げ、売上上位の社員に高級ブランド品や海外旅行を景品に与えるなど派手な営業活動を展開してきた。
この3社以外にも、かなりの事業者が調査対象となっているものと思われ、毅然とした早期の実態解明が期待される。
住宅型有料に大幅な法規制
有料老人ホームは、老人福祉法29条により規定され、ホーム開設前の事前届け出制となっている。今回の改定では、入居者を中重度の要介護者や認知症高齢者を対象としている場合には、人員・施設・運営基準を新たに設けて、届け出よりも重い「登録」制を新たな制度として設ける。一定期間後に「更新」するシステムで、行政が何らかの理由で更新を認めなければ事業者は事業継続が困難となる。不正の横行が多い住宅型有料の行政指導権限の強化策として打ち出したものだ。
また、囲い込み防止策として、系列のケアマネではなく独立性が担保されたケアマネによるケアプランの作成に改められ、そのケアプラン作成費用は入居者が負担することとなる。住宅型有料入居者は費用負担が増え、入居募集に大きな影響が出るだろう。
住宅型有料の大型倒産で、入居者が路頭に迷う事例や、住宅型有料を舞台とした緩和ケア(ホスピス)ホームの不正の横行から、大掛かりな法規制が行われることとなるが、独立したケアマネや契約書等の事前説明など、すでに使い古し感のある改定内容で果たしてその効果のほどはいかがなものか疑わしい。
最も効果のないのが、高額な紹介料をとっていたことが問題となった紹介事業者に対して、公益法人が「優良」認定することだ。ほぼ同様な事業形態の不動産仲介事業者に「優良」認定など聞いたこともない。むしろ求められているのは事業者の倫理規定で、誤解を招く制度には反対である。
診療報酬改定で訪問看護大幅引き下げ
訪問看護ステーションを巡る共同通信市川亨氏の一連の取材記事や、中医協の異常に高額な訪問看護診療報酬の指摘、日本在宅医療連合学会アンケートからホスピス事業者が主治医をコントロールし不正を繰り返す実態が判明したことなどから、厚労省は2年毎の診療報酬改定で緩和ケア(ホスピス)ホームの訪問看護診療報酬を本年6月から改定して、大幅な規制と報酬引き下げを実施する。
規制では、訪問看護事業者は、著しい低額家賃(後掲の表を参照)などで入居者を誘引することの禁止、利用者の紹介料の支払い禁止、主治医や訪問看護事業者・ホーム事業者などの利用指示による対価の収受の禁止などを定めた。訪問看護により収益を上げるための経済活動などの誘導を禁止することで、訪問看護併設の緩和ケア(ホスピス)ホームの異常なビジネスモデルが是正されることとなる。
診療報酬の改定では、訪問看護の報酬区分が細分化され、緩和ケア(ホスピス)ホームの利用者数が2人以下か3人以上の2区分だったのが、2人以下・3~9人・10~19人・20~49人・50人以上の5区分となり、10人以上は1カ月当たりの訪問日数が20日までと21日目以降で報酬額が変わる。実質上の報酬額の引き下げとなる。
また、ホームに併設された訪問看護ステーションが、別表7・別表8に該当する入居者に対して、24時間体制で頻回の訪問看護を行った場合1日あたりで算定する包括型訪問看護療養費が新設される。報酬区分はホーム内利用者が20人未満・20~50人未満・50人以上の3区分となり、ホームが大型化するほど報酬は低く設定されている。
この改定によって、緩和ケア(ホスピス)ホームの診療報酬は大幅に減額され、共同通信の試算では1人当たり訪問看護診療月額報酬が最大で80万から90万円だったものが、最大でも45万円まで下がることが予測されている。
訪問看護をまじめにやってきた事業者にとって収益上の影響は出るだろうが、何とか頑張って事業を継続していただきたい。厚労省は改定後のこれら事業者に対するフォローも怠りなくやってもらいたい。

有料老人ホームの入居者1人当たり月額売上高を高額順に並べるとPDハウス・医心館は高級高額ホームに相当し、一方月額費用(家賃食費など)は14.4万11.5万と他ホームと比べ異常に安い設定となっている。その不足額を医療報酬で賄っている構造がわかる。

1974年中銀マンシオンに入社、分譲型高齢者ケア付きマンション「ライフケア」を3か所800戸の開発担当を経て退社。
1987年「タムラ企画」(現タムラプランニング&オペレーティング)を設立し代表に就任。高齢者住宅開設コンサル500件以上。開設ホーム30棟超。高齢者住宅・介護保険居宅サービス・エリアデータをデータベース化し販売。「高齢者の豊かな生活空間開発に向けて」研究会主宰。アライアンス加盟企業と2030年の未来型高齢者住宅モデルプランを作成し発表。2021年には「自立支援委員会」発足。テレビ・ラジオ出演や書籍出版多数。
